前口上
担々麺
[1994年11月18日に発表した文章に、一部手を入れたものです。]
 都内各地を、と言っても偏りはあるが、歩きまわることも多く、あちこちで様々な昼飯を食べる機会に恵まれた。だから、納得の店、気軽に行けて個性あるマル得の店に行き当たったことも少なくない。
リーズナブル・ランチを求めて
 昼の中落ち定食が、今は 800円だがかつては 700円でライスお替り自由だった神保町の ふらいぱん、雪の桜新町であつかん1本とともに食べて冷えきった体を温めた、なんと 550円!の鍋焼きうどん(店の名も忘れたが 246号バイパス沿いにあった、ぴたぴたの、たしかパチンコの景品交換所にもなっていた店)、数寄屋橋のほろほろ鳥料理屋 大雅(旨くて安かった昼のしゃぶ定は改築後なくなったが、いまは幕の内弁当950円が味付け絶妙でお薦め) 、築地魚河岸直系の店として知られる「銀座福助」の支店で、ランチタイムには、茶わん蒸しと味噌汁付きのにぎりが 700円(1.5 人前1000円) の、大森北 福助、立食いそばでは右に出る店のない 小諸そば・追分そば(そこらのそば屋より旨い)などは、そうした店の一部だ。
 ラーメン店を挙げるときりがないが、ニールセンの大沼さん(と言っても、大方の人はご存じないだろうが、これもマイナー・ペーパーバック版の名残りである)に連れていかれた原宿の 九州じゃんがららあめん(秋葉原にも同チェーン店があるが、心なし味が異なるようだ)、アイドリイ(と言っても、大方の人はご存じないだろうが、これも・・・)の濱田さん(と言っても、大方の人は・・・)に教わった新宿の熊本ラーメン店 桂花(太肉麺=ターローメンが旨い)や豪徳寺(山下)の、ナント 200円ラーメンの店(1995年当時) 満来(立食いではないのだ)、白山通り沿い、福音館書店の並びにある、ギトギトとんこつラーメンの店 千石自慢ラーメン(500円、こちらは立食いだが、女性の客もよく来る) 、江戸川橋傍の 姫だるま(九州らあめん 550円、かやくご飯つき定食もある。実に旨いがいつ行っても満員)なども、忘れられない店だ。
 これらの店に共通するのは、リーズナブルということ。値段と味のバランスがとれている食事は、高くても安くても、高級な食材を使っても手頃な食材を使っても、食べて満足、なのだ。
だから担々麺!
 そうしたなかで、こだわりの昼食は、なんといっても担々麺。あの、辛い辛い中国そばである。
 いまでこそ、担々麺をメニューにのせる店も多くなったが、当時数ある中国料理店・ラーメン屋でほとんど扱っていなかった担々麺との出会いは、 津村喬著『ひとり暮らし・料理の技術』(1977年、風濤社) を読んだとき。この本は、料理と素材の知識もさることながら、そもそも料理と食に対する向かい方を教えてくれた。しかも、世に出ている多くの料理書のような懇切丁寧なレシピや写真・図版が載っているわけではないが、料理の仕方も適切に書かれ、大いに役立ったものである。
 例えば担々麺は、「干魚」の項目のシャーミ(干しえび)の説明のなかに出てくるのだが、次のように書かれている。
 担々めんをつくろう。自己流である。豚の骨で出しをとる。なければ例の鶏手羽先と固形スープでもガマンする。しょうが、ニンニク、ネギをこまかくみじんにし、よくいため、トウガラシもこまかく叩いて入れ、シャーミをドサッと入れる。かすかにミソを入れる。ハオ油と豆鼓は好みで少し、五香粉をふりいれ、油はラードにゴマ油をちらり。むろんサラダ油でもいいのだ。このドロドロに豚のスープを加えて煮込む。干エビの味がよくとけだす程度にはくつくつ煮て塩とショウユ、コショウで味をつけておく。中華めんはうてないのでハラシマのナマラーメンをかってきてゆでておく。むろんゆでたてがいいのだが、丼に入れ、スープをはり上から白ゴマを半殺しにスリバチですったものをドサッと、こんなにしていいのかしらというぐらいにのせ、あればコリアンダーか三つ葉をきざんでのせる。余計な具はいっさいなし。神田神保町の盧山菜館のべらぼうにうまいのを再現しようと苦闘するうちにこんなところに落着いて、うちの方がすこしうまいかなということにあいなった。
 ショウユ大さじ1杯・・・などと書くよりよほど親切な記述ではないか。読めば調理のイメージがスーッと湧いてくるというものだ。
 ともあれ、さっそく 盧山菜館に行き、辛いなかにも甘味を感じるこのそばに感激して、もちろん自分でも作ってみたりした。以後、見つければどこでも試食してメモをとり、コレクションとしたわけだ(残念なことに、盧山菜館はかなり前に閉店した。また、風濤社版『ひとり暮らし・料理の技術』は絶版、同書は現在、野草社から発行されている)。
辛いことは辛い?
 そもそも担々麺の名の由来は、てんびんのようにして肩に「担」いで売り歩いた大衆的な麺ということのようで、いつでも気軽に食べられるのが身上だが、私なりにその不可欠の三大要素を挙げれば、唐辛子の辛味、ゴマ味、干しえびということになり、これにニンニクと適度の酢味が加われば条件は整う。
 一時、激辛ブームなどといわれて、辛味は健康上も注目された。辛味成分は、
 1.皮膚温度を上げるが、体内温度を上げない(血管を拡げる)
 2.胃壁を刺激して食欲を上げる
 3.発汗作用がある
 4.高タンパクをとっても血中の遊離脂肪量を上げず、アドレナリンを増すので、ダイエット効果がある
 5.辛い料理は塩分を少ししか必要としない
 6.とりすぎると、中毒、マヒ、神経破壊に通じる
などの特徴をもっている。
 牛込北町にある 蘭亭の店内にも次の貼り紙がある。
豆板醤の効用
   食欲増進
   減塩嗜好
   肥らない(脂肪分解作用)

独断的コメント
 以下に掲げる各店は、これまでに担々麺を食べた主な店で、各店ごとの記述内容は次の通りとした。
場所(住所または目安) ・・・・・・
挽肉以外の具と味の特徴 ・・・・・・
最新訪問日 ・・・・・・
その時の値段 ・・・・・・
評価(5段階) ・・・・・・
補足と蛇足 ・・・・・・
(最新訪問日とは、担々麺を食べた最新の日のこと)
[追補] 2001年11月25日の全面リニューアルにより、記述内容は下記の通り変更した。
アクセス ・・・・・・
住所 ・・・・・・
電話 ・・・・・・
定休日・特記事項 ・・・・・・
最新訪問日 ・・・・・・
その時の値段 ・・・・・・
挽肉以外の具と味の特徴 ・・・・・・
評価(5段階) ・・・・・・
補足と蛇足 ・・・・・・
 なお、味の基準を盧山菜館のものとしたので、評価点は必ずしも旨いまずいと一致しない。しかも 独断に満ちているが 、4ツ星以上はすべてお薦めだ。
掲載と評価の基準、凡例については、コンセプト・ページをご覧下さい。
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