枝豆

マメ科
北アフリカ原産


 夏のビールといえば、まず思いつくツマミは枝豆だろうか。
 大豆の若い莢をゆでて塩を振り、ビールの合間に食べる。
テレビでプロ野球を見ながら、あるいは縁先でうちわをあおぎながらやるというのは、 中年おじさん(私のこと)のノスタルジアだが、 年齢、性別を問わず、多くの人に支持される、ビールの最高のツマミが枝豆である。
 なぜ、ビールには枝豆がピッタリか? については諸説があって、いずれとも確定できないようだ。
 振り塩がビールの旨さを引き立てるからという説、 莢から出す手間とビールを飲む間合いがマッチするからという説、 ビタミン豊富で上質の植物性蛋白質が酒飲みの体をいたわってくれるからという説 などなど、いろんな説があるけれど、とにかく、旨い枝豆はビールにピッタリなのだ。
 枝豆は、その他各種料理にも重宝する。
 野菜作りを始めたときから、枝豆を栽培計画から落したことは一度もない。 有機肥料を十分に施して作った枝豆は格別の味だし、 何より自分の好きな野菜だから欠かせない。
 トウモロコシなども旨いものができるけれど、自分がそれほど好きでないため、 虫害がひどいなど、ちょっとした苦労を経験すると、 翌年は、つい作る気をそがれがちだ。
 ところで、この枝豆作りも、鳥害には悩まされた。

〔枝豆の鳥害対策史〕

第1段階
 初めて枝豆を蒔いたときは、アッというまに鳩や椋鳥に食われた。
 それも、「カラスがほじくる」という類ではないのだ。 敵は要領よく、ずうずうしい。 水分を十分に吸った豆が柔らかく膨らんで地上に出てきたところを狙うのだ。 そして、青く色づき固くなると、もう食べない。
 初めの2~3年は、泣きながら、食われた跡にまた豆を蒔き直した。このくり返し・・・

第2段階
 豆を蒔いたあとに、防鳥ネットを張ってみた。
 たしかにネットを張れば鳥は豆を食えない。 しかし、たまたまネットに首をからませた鳩が窒息して死んでいたのを葬って以来、 これはやり切れないと思った。
 しかも、奴はネットの構造を壊してしまい、他の鳩が豆をほとんど食べてしまったのだ。 そこで・・・

第3段階
 穴空きマルチビニール(防寒用ビニール)を床に張って、 その穴から少しずらして豆を蒔いた。
 苗が成長したらビニールをずらして穴から苗を出してやる。 これは成功して2~3年くらいは続いたが、 ビニールの上から突っつけば、中の豆を食うことができるということを、 敵は学習してしまったのである。
 都会のカラスが生ゴミ袋を突っつくのと同じことだ。そこで・・・

第4段階
 これは、ようやくたどり着いた究極の対策で、いまでも続けている。
 豆を蒔いたら、ビニールトンネルを作る。 トンネル支柱(輪を半分にしたような形のパイプ)を設置して、 その上からビニールをかける。枝豆作りとしては実に大げさなのだが、これで鳥たちは、 大方諦めるようだ。
 苗が適度に成長したらトンネルを外して除草し、土寄せをする。

 この失敗談が鳥害に困っている方々のご参考になればと存じます。


〔枝豆の栽培〕
  • 播種時期:関東地域で4月下旬(穴あきビニールトンネル栽培の場合)
  • 収穫時期:7月下旬

 よく耕して肥料を加えた土地に、15~20cm間隔で1か所2粒ずつ、 1.5cmほどの深さに 種子を蒔く。
 枝豆は根粒菌がつくので、窒素肥料は少なくてよい。 窒素分が多すぎると、 茎葉ばかりが繁って実がつきにくくなったり、豆の生育が悪くなる。
 鳥害対策用に、トンネル支柱の上から穴あきビニールを張る (風で飛ばされないように、ジグザグにひもを掛けるとよい)。
 1週間程度で発芽するので、1か所2本立てのまま育てる。 発芽しないところには、もう一度種子を蒔く。土が乾燥したら、穴から水をやる。
 顔を出した豆が青く色づけば鳥は食わないので、ビニールを外してよい。 ただし、ビニールトンネルは、穴あきでも保温効果があるので、 これを利用したい場合は、丈20~30cmになるまでビニールを掛けておけばよい。
 ビニールを外したら、雑草だらけになっているので、除草して土寄せをする。
 その後、1~2回追肥をやり土寄せをする。
 白い小さな花が咲き、莢ができて次第に大きく育つ。ころ合いを見て収穫する。
 早めに収穫すれば柔らかいが、味も甘味も薄い。 大きくなるまで待って収穫すると、味は良いが硬くなる。
 どのあたりにするかは、好みと都合とタイミングの巧拙による。私などは、平日の早朝と か土日曜日にしかできないので、都合第一ということになるが、10日ぐらいの間に3~4 回に分けて収穫すると、バラエティがつく。


〔97年の栽培記〕 品種:白鳥
4月29日播種(穴あきビニールトンネル)
5月10日数日前の強風でビニールがはがれていた。ある程度育ったあとだったようで、 鳥の害はわずかで済んだが、ヒヤヒヤものだ。
6月21日、前日の台風にも被害なし、白い小さな花をつけ始める。
7月6日、さやが目立ち始める。 今年は追肥やりをさぼったためか、丈は低く葉が少ない。肥料をやり過ぎると、上記したように、 葉ばかり多くなって実のツキが悪くなるが、それにしても肥料が足りなかったようだ。
7月19日、さやがかなり膨らんで、そろそろ収穫できそう。
7月25日、第1回収穫。丈は低いが、1本当たりの豆の量は例年に比べても少なくない。
この日の「朝日新聞」朝刊の「千葉版」に枝豆の作況が報道されていたが、それによると、 今年は高温小雨の影響で1本当たりのさやの数は少ないが、豆は大きめだとのこと。
早速ゆでて食す。味は抜群、旨いっ!
7月27日、第2回収穫。
8月2日、第3回収穫。少々実がいりすぎだが、味がこくなった。今年の収穫総量約60本。


〔96年の栽培記〕 品種:白鳥
4月27日播種(穴あきビニールトンネル)、 6月9日ビニールを外し、除草、土寄せ (かなり遅めになったが、これは単なる私の怠慢。こういう怠けをやらかすと、 草もたいへん良くお育ちになっているので、草とりがたいへんになる)
以後、追肥、土寄せをやり、7月下旬、収穫。収穫量約80本

(写真1)

(写真2) (写真3)

(写真4)

(写真1) 防鳥用にビニールトンネルを敷設
(写真2) 発芽直後(これを鳥どもが餌にする)
(写真3) 青く色づいた若葉(こうなればもうだいじょうぶ)
(写真4) そろそろ収穫

前年は虫にやられて、ほとんど食えなかったが、96年は虫害が少なかった (風通しを良くするだけでも違うようだ)。カンパーイ! グビッ、グビッ うぅー ウマイッ、って、何が?


〔枝豆の料理〕

料理というかどうか知らぬが、やはり一番旨いのは茹でてビールの友にすることだろう。 他には、枝豆ごはんなどや、中国料理で利用する。


茹で枝豆

〔材料〕

枝豆 適宜
塩 適宜

〔作り方〕

枝豆を茹でるだけだが、これにもコツはある、ということをいつか学んだ。
根を切り落とし、莢が枝についている部分を少し深めに(莢に口があくように) ハサミで切り落とす。
軽く水洗いしたら、塩を振ってよく揉み、汚れや毛を落とす (同時に、塩がしみ込んで旨くなる)。
ざっと水洗いして、塩を加えた熱湯で茹でる。
ころよい柔らかさになったらザルにとって、できあがり。
茹で時間は、枝豆の育ち具合と量、湯量、食べる人の好みで違うが、15分くらいか。
何度かつまみ食いして確かめればよい。


枝豆とピーマンの炒め物

〔材料〕(4人分)

枝豆 100g
ピーマン 2個
厚揚げ 1枚
塩 少々
かつおだし 少々
ゴマ油 小さじ 1杯

〔作り方〕

枝豆は莢から出して洗っておく。
ピーマンは、種を取り除いて細切りにする。
厚揚げも細切りにする。
熱した中華鍋にいため油を入れて熱したら、枝豆とピーマンを入れて炒め、 火が通ったら厚揚げを加え、塩、かつおだしと水大さじ3~4杯を入れて炒める。
汁気がなくなったらゴマ油をかけて混ぜ、できあがり。

生の枝豆をむくのは骨が折れるが、なかなか旨い料理だ。


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